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公益社団法人 千葉県看護協会

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訪問看護師の1日・事例紹介

事業案内

訪問看護師の1日

8:45 出勤してユニホームに更衣します。(非常勤9時~)

タブレット(一人一台)で訪問する予定の方の情報収集や引継ぎなどを行います。

訪問は午前2件、午後1~2件となります。

訪問中はタブレットを使って、スタッフと情報共有、記録も可能です。電話での相談もいつでも出来ます。

16時頃ステーションに戻って記録、報告、相談、訪問の調整などをします。

17:15 退勤(非常勤17時)

がんを患っていた方への訪問

がんを患い、妻と二人暮らしをされていた80歳代の男性を紹介します。痛みを感じてから半年ほど経ち、在宅緩和治療を希望され、訪問看護が開始になりました。痛みに対する恐怖や病状の進行が早いことへの不安を訴えておられました。病状に対する不安や困っていることを話してもらい、できるだけ今までの日常生活が送れることを目指しました。一人での入浴が不安と話されていたので、入浴介助をしていました。入浴方法にはご本人様のこだわりがあって、湯船の中で髭剃りと歯磨きをされるので、出来るだけご自身で出来るように準備をして行いました。入浴後は「良かった、今日も入れて」と言われていました。訪問して2週間ほど経つと食事摂取が難しくなり、ベッド上で過ごす時間が増えて、入浴は出来なくなりました。奥様とご本人様に食べやすい食事を紹介したり、痛み止めの薬の効果的な飲み方をアドバイスして行ってもらいましたが、それでも脱水が進んできたので、訪問看護師が往診医に連絡をして点滴や薬の調整をしてもらいました。奥様は一生懸命介護されていましたが、ご本人様が急速に具合が悪くなる様子にどう対応したらよいか分からず不安がられていました。訪問終わりの玄関先で、奥様の辛いお気持ちを聞いたり、介護方法へのアドバイスをし、困ったときはいつでも連絡をくださいと伝えていました。ご自宅での看取りを希望されていましたが、ご本人様の苦痛が強く、訪問看護と奥様だけでは対応が難しくなり、ご本人様、ご家族様同意の上、緩和ケア病棟へ入院されました。遠方にいた娘さんからは「往診の先生にも訪問看護さんにも恵まれたけれども、母がパニックになったので家で最期までは難しかったと思います」と電話がありました。私たち訪問看護師は、もう少し何か出来たのではないかと思うことも多いのですが、ご本人様、ご家族様にとって一番良い方法を選択されるのが最善かと思います。

高齢で独り暮らしをされている方への訪問

認知症を持ちながら一人暮らしをされている80歳代の女性を紹介します。「困っていることは何もない」と話されていたので、訪問の初めは何をしに来たかと言わんばかりの冷たい対応でした。まずは訪問看護師に慣れて頂くことを目標にしました。週に1回訪問して、ご本人様のお話を30分聞いてくる訪問を2か月ほど続けるうちに、「誰にも言えなかったから話を聞いてくれてありがとう」と言われるようになりました。よく散歩をしていると話されていたので、歩行状況の確認も兼ねて、訪問中は一緒に散歩に行くことにしました。3年近く経ちますが、今では訪問看護師が「手を洗わせてくださいね」と言うと「50円いただきます」と。「血圧を測りますね」には「100円です」、「痛いところは?」「ふところだけ」と冗談を言ってくれるようになりました。ここ最近は認知症の症状が進行し、今まで出来ていた身の回りのことが出来なくなっているのですが、今でも「困っていない」と答えられます。ケアマネージャーが他のサービスを入れようとしたこともありましたが、ご本人様の拒否があり出来ませんでした。訪問看護では入浴介助も出来るのですが、ご本人様は元々お体に触れられるのが嫌いなので、介入できそうなところと思い、「散歩に行く前に髪の毛を整えましょう」と言うと、思いのほかすんなり整髪をさせて頂けるようになりました。なかなか進まないように思われるかもしれませんが、じっくり向き合って関係性を作っていくのも訪問看護の魅力の一つかと思います。

人工呼吸器を使用している方への訪問

人工呼吸器を装着し、在宅で療養を続けている70歳代の女性を紹介します。ヘルパーさんなどの在宅サービスを使いながら生活されており、玄関にはご本人様のご希望で季節ごとに飾るものが代わり、サービスに来た人が四季を感じられるようになっています。部屋の空調の調整、テレビの取り扱い、室内の電気の調整など、ご自分の指1本でパソコンを使って操作され、ご自分の思いもパソコンで打って見せてくださいます。YES,NOで答えられる質問は目の合図が決まっています。私たち訪問看護師は、ご本人様にとってつらい症状が出来るだけ少ない状態で、今の生活を維持していけるように関わっています。訪問の時には体調について不安に思ったことを看護師に相談されるので、一緒に対処方法を考えてお伝えしています。ご自身で体調不良を対処できないときは「看護師さんを呼んでください」とパソコンでヘルパーさんに依頼され、緊急訪問をするときもたまにあります。

今回はご本人様とのコミュニケーションの一部をご紹介したいと思います。看護師:「体調は大丈夫ですか?」ご本人様:目で「ハイ」欠伸をする。看護師:「眠そうですね」ご本人様:パソコンで「眠い」と打つ。看護師:「昨日眠れなかったんですか?」ご本人様:目で「イイエ」看護師:「寝付けなかったんですか?ご本人様:目で「イイエ」看護師:「眠れない日もありますよね。お昼を食べた後ですしね」ご本人様:目で「ハイ」

今回は短い文ですが、パソコンで長文を打って見せて下さることもあります。訪問の終わりには「ありがとうございました。気を付けて帰ってくださいね」と音声付きで送り出してくださいます。日常生活を見守り、支えていく看護の一部のご紹介でした。

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